Fitter 実寸に合ったものを得るシステム

モデリングプロセス

概要

3Dモデルを新規に制作する場合でも,既存のモデルを造形する場合でも,実世界のものに合わせて作成する場合が多くあり,そのサイズ合わせはデリケートな問題である.

この問題を解決するため,サイズをそのまま写しとり,それに合わせてモデル作成・修正を行い,それをその場で出力するというコンセプトを提案する.このコンセプトを実現するため,ビルドプレートにタッチディスプレイを設置した3Dプリンタのプロトタイプを制作した.

今回システムが対象とするのは,入れ物の作成とアクセサリの大きさ合わせである.

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システム

システム

システムは,造形を行うビルドプレートの部分がディスプレイ(build display)となっており,シングルタッチ入力が可能である.ユーザはそれを用いてモデリングや移動・拡縮など,造形作業を行う.また,プリンタ上部にはwebカメラが設置されており,ビルドプレート上に配置された実物体をキャプチャし,ディスプレイに実寸大表示することが可能である.

build displayにはwebカメラを用いてキャプチャを行い作業の準備をするためのTraceボタン,PC内の3Dモデルを読み込むLoadボタン,造形を開始するPrintボタンの3つのボタンが用意されている.

なお,システムはreprap機であるPrn3Dを改造して作成している.

モデリング

新しくオリジナルの3Dモデルを制作するには,タッチペンを用いてbuild display上をなぞって作りたいモデルの形を描けば良い.

今回モデリングで制作できるのは入れ物である.ユーザは書き方を変えることで2種類の入れ物を設計できる.入力ストロークの始点と終点が離れている場合は,視点と終点の間を穴とする入れ物を作成できる(ハサミ入れ).ストロークの始点と終点が近く,輪のようなストロークが与えられた時は,底面が空いたような3Dモデルを作成できる(ドローンケース).

モデリングシステム:a)入力ストロークが輪でない場合 b)入力ストロークが輪の場合

既存モデルの造形

提案システムではモデリングを行えるだけでなく,既存のモデルを拡縮して出力することが可能である.build display上のLoadボタンを押すことで,ユーザが事前に設定したPC上の特定のフォルダ内から,最新の3Dモデルを探しだす.ユーザは表示された概形の枠を掴んで拡縮・内部を掴んで移動を行い,位置合わせと大きさ合わせを行う.

例えば,自分の手のコピーを取り,ダウンロードしてきた指輪のモデルをそれに合わせて拡縮することで,ぴったりの大きさの指輪を造形できる.

書誌情報

  1. Yoh Akiyama and Homei Miyashita. Fitter: A System for Easily Printing Objects that Fit Real Objects. Proceedings of the adjunct publication of the 29th annual ACM symposium on User interface software and technology(UIST2016), pp.129-131, 2016.

その他

プロジェクトソースコードを公開しました.

ソースコード